DCTの他にも何かクラッチの軽いモデルはないのか、と探してみたところ「アシスト&スリッパークラッチ」というものがあるらしいので調べてみた。
そもそも初めは、強いエンジンブレーキがかかった場合に後輪が跳ねたりグリップを失ったりすることを回避するために考えられたものだそうだ。ここにわかりやすく書かれているが、後輪がエンジンを回してしまうような場合にはスリッパークラッチが自動的にすべり後輪ロックを防ぐ機構だそうだ。
ところこれにはおまけがあって、このスリッパークラッチを導入すると後輪がエンジンを回す場合にはスリップするが、逆に本来のエンジンが後輪を回す場合にはクラッチが繋がりやすくなる。そのためクラッチ板を押し付けるスプリングが弱いものでも十分になり、つまりはクラッチレバーが軽くなる、というものだそうだ。そのために「アシスト&スリッパークラッチ」という名称となる。
問題点は、通常のクラッチと比べるとクラッチ板が減りやすい、オイルが汚れやすい、押しがけができないなどで、大きな問題ではない。
この機構がついたモデルは今までは大型車が多かったが、次第に中型にも採用されてきたそうだ。今までスズキに乗ってきたので探してみたところVストローム1000の途中のモデルからスズキクラッチアシストシステム(SCAS)採用とのことだったので、安い中古を探して見に行ってみたところ、それはアシストクラッチがつく前のモデルだった。ついている新しいモデルは、それなりの値段になってしまう。
軽いというクラッチを経験できなかったので、中古車店の店員にクラッチの軽いモデルについて聞いてみたところ、まだ中古車店の安いモデルにはまだあまり出ていないようだ。またカワサキでは軽いクラッチのモデルが多くなってきたといい、250の実物があったので握ってみたが軽い。軽いクラッチのモデルなのか、250だから軽いのか、ちょっとわからなかった。
ヤマハにも一応クラッチなしシフトシステムがあり、「YCC-S」(ヤマハ電子制御シフト)というのが、2006年以降のFJR1300ASに搭載された。しかしそれ以外にはまだでていないようだ。
そのほかにもクイックシフター(オートシフター)というのもある。バイクのギアをシフトアップする際にセンサーが検知し、エンジンの点火を100分の何秒という間でとめるというもの。これによってクラッチ不要でシフトアップができる。自分はすでに、手動で同じことをやっている。ほんのわずかなクラッチ操作の時間すら惜しむレーサーなどでは、すでに広く普及しているそうだ。
市販モデルでも少しずつ出てきているようだが、以下の問題点がある。完全にクラッチ不要というわけでなく、停止時やスタート時などにはやはりクラッチ操作が必要なこと、市販車ではクラッチ不要はシフトアップのみでシフトダウンには対応していないモデルが多い、など。要は自分が買えそうなモデルでは無理、ということだった。(続く)