ホンダのDCTについて専門のページがあるので読んでみた。スクーターのようなCVTでなく、ちゃんとしたコンピューター制御のクラッチとギアがあるミッションだった。採用しているモデルは、ゴールドウイング、アフリカツイン、レブル1100、X-ADV、NC750X、FORZA750などだった。これらはかなり縁遠いバイクだったが、唯一の例外はNC750Xで、大型二輪の教習車NC750Lの兄弟車だった。
NC750シリーズは、NC700S、Xとして2012年にDCT無しと有りの両方のモデル(RC61、63)で発売となった。その後、2014年から750にボアアップし、2016年、2021年(Sは廃止)にモデルチェンジを繰り返している。
NC750Lの元はNC750S。SとXの違いは、Sはスポーツタイプでカウリングなし。Xはクロスオーバーだろうか、アフリカツインのようなアドベンチャーモデルで、車高が少々高い。ノーマル車高のNC750Xの他に、数センチ車高の低いNC750X LD(ローダウン)というモデルもある。
DCTはいわゆるATの範疇でギアの選択はコンピューター任せだが、マニュアルトランスミッションモードも選択でき、その際にはクラッチなしでギアをライダーが操作することもできる。
いいことばかりのようだが、世の中そう甘くはない。いろいろと調べてみるとどうもこのバイク用のDCTがまだまだ出始めの技術で、故障が多く以下の症状がでるらしい。
- Nに入らない
- ギアが変わらない
- ギアがマイナス表示になる
- エンジンが始動しない
- 症状が出ても一度エンジン止め、再始動すると収まることがある
同様のDCTが四輪のフィットで6回もリコールを繰り返した。ドイツの大手機械メーカー・シェフラーのDCTユニットの時はよかったが、途中からホンダ内製ユニットを使い始めたころからおかしくなったそうだ。機械自体の問題だけでなく、ECU内のソフトウエアのバクも含まれる。バイクのDCTはどうなのか。
これも色々調べてみたところ、ECUやセンサーを交換してもだめで、シフターシャフトという部品の強度不足(色が銀)のようだ(1)、(2)。2014年モデル(RC72)の途中からこれが対策部品(部品名シフターピン 24315-HL4-000 色は黒)に交換され故障が減ったらしい。
古い銀色のシフターピンは、まるでドラマ「下町ロケット」ダーウィン編にでてくるギアゴースト社の故障頻発トランスミッションの欠陥シャフトみたいだ。佃製作所はギアのシャフトに特殊な加工を施し強度を上げて問題をクリアした。新しいDCTの黒いシフターピンが、佃製作所製だといいのだが。
ちょっと怖いが、クラッチレバーなしというのは大きな魅力だ。