前回通れなかった通称「奥武蔵グリーンライン」に挑戦してみた。「埼玉県入間郡毛呂山町の鎌北湖から、秩父市の埼玉県道11号(熊谷小川秩父線)の定峰峠に至る30kmほどの林道の総称が、奥武蔵グリーンライン」ということになっているらしい。Googleマップなどでも奥武蔵グリーンラインで表示されている。
2019年の台風で道が大きく崩れ、長い間通行止めが続き「まだ通れない」といった情報が多いが、2022年6月現在は通行可能。林道といっても舗装されているが、路面が陥没しかかったり、がけ崩れを修復された跡があったり、幅が車一台分の尾根を通ったりで、それなりの雰囲気はある。かなり自転車の通行が多く、個人だったりグループで走っている。路面が悪いので奥多摩周遊道路のようにスピードは出せないが、交通量が圧倒的に少ないため時々道路のど真ん中を走っている自転車がいるので、注意が必要だ。
NC750Xはカテゴリーとしてはクロスオーバー(アドベンチャー)なので、簡単なダートなら走れるということになっている。国道299号にほぼ平行して走るこの道はダートではないが、結構長いので走ってみたかった。先日北回りで「彩の国ふれあい牧場」から行った時は、定峰峠以前で通行止めと勘違いし引き返したが、奥武蔵グリーンラインは青矢印の定峰峠までは繋がっている(通行止めはその西側で秩父へ抜けられない)。今回はそこまでいかないが、白石峠から北に折れ「堂平観測所ドーム(天文台)」をゴールと決めて走り出した。
土曜の朝、妻をパートに送り届けてから出発する。子供もバイクで江ノ島へ行くらしいが、事故には気を付けて欲しい。天気予報は、今年一番の最高気温と言っている。埼玉は暑いからちょっと心配。フルフェイスヘルメットに、パッド入りのハーフメッシュジャケット、バイク用エアバッグ、ジーンズ膝パッドは暑いが、安全のため仕方がない。走行中は、走行風でかろうじて大丈夫だが、日向に停車するとジリジリ焼けてくる。
混んでいる所沢市街地を避け、多摩湖から人工雪スキー場(まだあった)裏、西武ドーム(ベルーナドーム)横を通って国道463号から299号に抜ける。西武ドームはかなり昔に、家族で野球見物に来たことがある。小さい子供が飽きてしまって、9回持たずに途中で帰ったのも思い出だ。
この463号から299号は所沢から飯能あたりがそこそこ混んでいたが、それ以降は道が空いて市街を抜けるとかなり田舎の雰囲気になる。この辺から299号は、西武池袋線と高麗川とくんずほぐれつ一緒に進む。バイクも増え、ツーリングらしくなってきた。今回の奥武蔵グリーンラインには、西武線「東吾野駅」近くから脇道の林道に入っていくコースを予定していた。
ただしその脇道から林道をYahooカーナビとか、Googleマップに登録しようとすると、自動的に選ばれるのは国道や県道になってしまう。それをPCからマニュアルで林道に変更し、そのルートをモバイルでデータ送信すると、元の自動選択の大きな道で共有されてしまう。これは仕様らしいが何とかして欲しい。色々工夫したが、一つのルートをいくつにも分割してセーブしたので使いにく。また山の中の林道では圏外の場所が結構あり、マップ自体が表示されなくなってしまう。事前にデータをダウンロードしておけばよかった。
結局、東吾野駅近くの脇道はナビにセットできず、入口をうろ覚えの状態で走ってみた。しかしいつまでたってもそれらしき道がわからない。違和感を抱えつつ5分ほど進むと通るはずのないトンネルについてしまって、元に戻ることにした。やはり違和感があったらすぐに止まって確認した方がいい。スマホのナビで確認すると、脇道入口近くに郵便局があることがわかった。そして戻っていくと小さな郵便局が見つかったが、それらしき脇道が見つからない。え~っと再度止まってよく確認すると、国道脇にほんとに目立たない小さな路地が見つかった。これしかない、ということで進んでみると、やっと当たりだった。ストリートビューなどで事前に確認して置くべきだった。
①東吾野駅前の「医療介護センター」の信号を越え、
②左に「坂ノ下板金塗装」を過ぎ、
③信号から210メートル進むと右側に林道入口があるのでここに入る。
④左に「東吾野郵便局」が見えたら行き過ぎなので国道を30メートルほど戻ること。
奥武蔵グリーンラインは、自転車で人気なようだ。バイクの10倍くらい走っている。林道のためか、バイクは125から中型が多い。次第に暑くなってきてヘルメットのシールドを開けたいが、結構虫が多く大きく開けられない。時々ブヨなどかシールドに当たって大きな音を立てるだけでなく、は虫の大群がいて隙間からヘルメットの中に入ってくる。
白石峠まで行ったら右に「ときがわ町堂平天文台」の看板がかかっているので、右折する。ここには屋台のような出店があり、飲み物を販売しており、自転車組がたむろしていた。林道は日陰が多いが、上り坂を人力で上がってくるのは大変だ。林道には自販機などないので、よく売れていたようだ。
パラグライダーの滑空場などを越えて5分ほど進むと、天文台に到着する。本当は中を見てみたかったか、ここも自転車がたむろしていてやめた。屋台のような店がランチなどを売っていたがコールドドリンクの自販機はなく、正丸峠までいけぱなにかあるだろうと、写真を撮って妻に送り早々に引き上げた。ここで12時頃になる。
狩場峠まで戻り、右折して正丸峠への林道をすすむ。こんなところにと思う場所に人家があり、どうやって生活しているのか本当に不思議だ。と思いながら走っていたら、林道も終わりに近づいた。
下記の写真を左に進むとあと130メートルで国道299号正丸トンネルの入り口近辺にでるが、右に進むと正丸峠にでる。写真の左右の道はほとんど通行はないがこれは実は正丸峠旧道で、1982年(昭和57年)に正丸トンネルができるまでは、こちらが299号線だったそうだ。
82年というと大学生の頃だが、たぶんそのころ正丸峠を走った記憶がある。トンネル開通以前だったかどうかわからない。わざわざ旧道を走った可能性もある。車かバイクかも定かでない。しかし自分の前を大型ダンプカーがノロノロというより、恐る恐る走っていたのを覚えている。ダンプ運転席の後ろに垂直に鉄板が経っている(鳥居というらしい)が、これが峠道の上にオーバーハングした岩などに触れそうで、後ろを走っていて怖かった記憶がある。今回40年ぶりくらいに走ってみたが、幅は狭く乗用車でもすれ違いに気を付けるほどの場所があり、路面は非常に悪く、ガードレールも曲がっているところがあり、よくまあ大型ダンプが走っていたものだな、と思った。
ここはかの有名な「頭文字D」に出てきた、バトルの聖地のひとつである。写真の場所は、バトルが一本終わった時にUターンをした場所らしい。埼玉のハチロクドッカンターボとバトルした場所で、漫画にもロードコンディションはよくないとあった。しかし実際に走ってみてわかるが、この路面でバトルなんてやったら足回りを壊してしまう。トンネルができてから、メンテナンスを真面目にやってないのだろう。そのためかどうかわからないが、90年台頃は走り屋がたむろして、事故が頻繁に発生したそうだ。ガードレールが曲がっているのもそのためらしい。後で分かったが、峠にあるお休み処の奥村茶屋で「頭文字D」関連のステッカーなどを売っていたらしい。残念!
正丸峠を南西側に降りると県道53号線(青梅秩父線)にでるので、そのまま青梅に向かって帰途に就く。この辺で1時頃。299号あたりだったか気温計が29度を示しており、山の中は涼しいのかなと思ったが、山下りで青梅に向かうにつれじわじわサウナのように暑くなってきた。
途中から成木街道に入り青梅市街に入ったたところでやっとコンビニがあったので、入って冷たいお茶を買って飲んだ。家を出てから初めて水分補給した。もっと早く取るべきだった。この辺では35度くらいあっただろう。ここまでくれば奥多摩へ行くときの道なので、後はおなじみの道で帰った。
家の近くでラーメンを食べたが、その後ちょっと気分がよくなかった。熱中症気味だったのかもしれない。家についたらすぐ冷たい水のシャワーを浴び、エアコンを入れ1時間ほど横になったら元気になった。自分は休むよりもどんどん走ってしまう方で、暑いし、いい年なのでもっと休みをしっかりとろうと思った。ともかく事故なく無事に帰ってきた。ご安全に!