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教習車 大型(NC750L)と中型(CB400SF)の違い 教習所日記番外編

 検索サービスで、このページにたどりついてくる人が多いようだ。コロナでバイク免許に挑戦している人が多くなったのだろう。教習所日記を書いたのは、まもなく一年前になる。後進の何かのお役にたてれば幸いなので、ちょっと加筆することにする。

 

なおホンダより2022年6月に、NC750Xベースの新型NC750L発売プレスリリースがあった。大型二輪教習者の皆さんも興味があると思うので、そちらのついての記事は以下に記載しておく。

ここでいう中型とは、普通のこと。親父のためつい昔の中型と言ってしまうので、読み替えていただきたい、

 昨日の教習では、いつもの大型(NC750L)から中型(CB400 Super Four)に乗り換えてその違いを体験するという課題があり、30分ほどCB400SFに乗ってみた。中型は低速トルクが低いなと思ったが、実際にどのくらい違うのかなと興味が沸いてネットで調べてみた。

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 大型の教習車は正式にはNC750Lといい、ホンダの2016/11のマイナーチェンジのプレスリリースは以下の通り。

「NC750L(教習車仕様)は、教習時に頻繁に使用する極低速域での操作性と低・中速域での扱いやすさを追求した、力強いトルク特性の直列2気筒745ccエンジンを搭載。教習指導員が見やすい表示ランプ類や、転倒時における車両の破損や損傷を軽減させるバンパー類など、二輪教習に適した特殊装備を付加した自動車教習所専用モデルです。
 今回、扱いやすさのさらなる向上を図るためにクラッチレバーの形状を変更し、クラッチ断続操作時における操作フィーリングを高めるとともに、操作レシオを変更することで操作荷重を低減。また、フレーム側のバンパー取り付け部の形状を変更し、保守整備時における整備性をより高めたほか、イグニッションキーには剛性の高いウェーブキーを新たに採用するなど、教習生と教習指導員双方の立場から求められる使い勝手や耐久性、整備性に配慮しています。カラーリングは夜間の教習時にも車両の挙動を確認しやすいパールサンビームホワイト1色の設定としています。税抜き本体価格 829,000円」

最高出力   37馬力 / 5,250回転(レッドゾーンは6,500回転から)

最大トルク  54N.m (5.5kg.m) / 4,000回転
ミッション  5速
車両装備重量 228kg

 ナナハンで37馬力とはかなり少ない感じだが、最大トルクが4000回転からということで、かなり教習所向けの低回転型エンジンなのだろう。とはいうものの、教習所の教官からは、クランクやS字といったほとんどアイドリングに近い超低速回転時のカーブや段差などでは、2気筒のためかあっけなくエンストすることがあるといわれた。

 元になったNC750Sも同様だが、低重心設計で従来のガソリンタンクの場所はラゲージスペースで、重いガソリンタンクはフレーム中心部の低い位置にある。

 ガソリンといえば燃費だが、教習車は不明だがNC750Sはリッターで30キロ代半ばくらい走るらしい。すごい低燃費で125ccのマジェスティFI(35km/L)と同じくらい。コンピューター制御が進んでいるのだろう。

 なおシート高については、ネット上にはNC750Sと同じ770mmの説と、教習用に足つきをよくした750mmの説の二種類がある。ホンダプレスリリースでは770mm。自分は短足だが、両足がかかとまでついた覚えがある。シートが細いのかもしれない。

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 元になったNC750Sのスペックを見てみると、やはり教習車仕様はかなり専用にデチューンしてあるのだろうな、と思った。教習所で6,000回転なんぞ回そうものなら、カミナリが落ちただろう。初心者にはマイルドが一番。

 ただ気になったのは、左ハンドルスイッチの、ホーンとウインカー上下の位置がどうも通常と逆になっていること。よく使うウインカーが下、めったに使わないホーンが上で、どう考えてもおかしい。緊急時対応ということか。ネットで調べてみるとこのような配置をグローバルモデルというらしいが、このようにホーンが上というモデルが増えてきているらしい。慣れの問題だと思うが、ここは教習所。ウインカーの付け忘れ、消し忘れは、卒業検定に関わってくるので教習所仕様車ならぜひ国内で多い方に統一してほしい。マジェスティから乗り換えたあと、慣れるまで交差点で「ぷ~」と情けないホーンを何度も鳴らしてしまった。

 なお教習車仕様の元になるNC750Sには、DCT(Dual clutch transmission)という有段式自動変速機も選択でき(故障が多いらしい)、その場合クラッチレバーが無い。2020年12月の免許改正でAT限定650cc制限が撤廃されてAT限定大型免許でNC750Sや、ホンダゴールドウイング1800ccでもDCT仕様なら乗ることができるようになったそうだ。ロングツーリングにはよさそう。

最高出力   54馬力 / 6,250回転
最大トルク  68N.m (6.9kg.m) / 4,750回転
ミッション  6速
車両装備重量 218kg

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 なお普通(中型)の教習車は、CB400 SUPER FOUR(教習車仕様)でプレスリリース(2016/3/10)は、以下の通り。

 「教習車として扱いやすい出力特性としながら、平成28年度排出ガス規制の法規対応による環境性能の向上を行っています。また、従来モデルと同様に、運転状況が一目で把握できる見やすい表示ランプ、扱いやすいアップハンドルや足つき性の良い750mmのシート高、適切なステップ位置、破損や損傷を軽減させるエンジンガードやリヤバンパーなど、教習車としての仕様装備はもとより、走行性、操作性など、扱いやすさの向上を追求しています。税抜866,000円(ツートンでない、青と黄色のモデルは3万円マイナス)」

最高出力   53馬力 / 11,000回転(レッドゾーンは13,000回転くらい)
最大トルク  3.7kgf・m / 9,500回転

エンジン型式    NC42E
車両装備重量 207kg(バンパーや表示ライト込み)

 ネットでは教習仕様のエンジンは、VTEC(Variable Valve Timing & Lift Electronic Control System)なしで常時2バルブでの動作となるNC31というエンジンが乗っているとの情報がある。ちなみに通常モデルは、VTECありのNC39は56馬力、4kgf/mのようだ。ただし同時期のプレスリリースでは、エンジン型式は教習仕様と同じNC42E。コンピューターのチューニング等が異なるのだろうか。

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 なんと馬力は53馬力と、CB400SFのほうがNC750(教習車仕様)より約20馬力近く上。え~っと思ってよく読んでみると、最大馬力時の回転数は11,000回転とNC750の倍近く。トルクはやはり400のほうが小さく、それも回転数は倍以上。高性能高回転型4気筒エンジンだけあって、教習所で常用する低回転域のパワーやトルクはスカスカだった。よく読んでみないとわからないものだ。

 

 外周コースでモタモタと走る4輪がいなくなったときなど、NC750Lなら3速ギアチェンジなしでモリモリ加速したが、CB400SFでは気持ちいい加速のためには必ずギアは一段下げる必要がある。外周カーブやスラロームなど中速域に入る時なども、大型ならある程度ならそのままのギアでもトルクでこなせるが、中型(普通)の場合には自分が何速なのかを理解して入る必要がある。さらにクランク、S字、一本橋波状路といった超低速状態ではトルクが不十分で、多少回転を上げる事とクラッチ操作の両方が必要なことだった。

 もう一つ印象に残ったのが、ステップの位置がNC750Lに比べて高く、膝が急角度で曲がっている状態だった。コーナーを攻めるにはバンク角が深く取れていいだろうが、ロングツーリングには膝が窮屈だろうなと思った。

 

 なおCB400SFのハンドル左スイッチのホーンとウインカーの上下位置は、一般的な国内仕様と同じ(よく使うウインカーが上、ホーンが下)。グローバル仕様のNC750Lの逆位置にやっと慣れたと思ったら、CB400SFに慣れるのにまた「ぷ~」と何度も鳴らし、やっと国内仕様に慣れたと思ったら、またNC750Lに戻り再度慣れるまで「ぷ~」とやってしまった。